2013/01/28

育ちの悪いフライパンをリセットする

妻がメインで使っている鉄のフライパンのパン肌がまたまた荒れ始めていました。
育ちが悪いですね〜
ホームセンターで購入 26cm

ちなみに、私がメインで使っている鉄のフライパンは、黒光りが強くなってきて、いい感じに育ってきています。使用後に金たわしで汚れを落とす時の滑りが良いです。洗剤使っても染み込んだ油が抜けることはありません。
山田工業所 打ち出し 22cm


とにかく妻のほうのは、このまま使い続けてもくっつくフライパンにしかならないので、サンドペーパーで磨いてリセットすることに。
奇麗になったパン肌。

空焼きして酸化皮膜をつくります。安全装置付きのコンロだと途中で火が止まってしまうのでカセットコンロなどを使いましょう。
酸化皮膜(黒錆)


酸化皮膜(黒錆)に油を染み込ませる
鉄のフライパン リセット完了。


順調に育っているパン(左)とリセットしたてのパン(右)

記念にパシャリ
今度こそリセットすることなく黒光りするフライパンに育ってほしいと願いつつ。
使用後は金だわしでしっかり汚れを落とす。
パン肌を削り取るぐらいの勢いでこするようにすると奇麗なパン肌を保てると思います。

2013/01/14

鉄のフライパンのおすすめ

鉄のフライパンを購入するときに参考になればと思い、まとめてみました。

■サイズ
26cm・・・一番ポピュラーなサイズだと思います。一家に一つあるイメージです。ハンバーグ3個ぐらい焼ける大きさ。オムレツを作るにはカーブが緩すぎるので向かないです。フライパンや鍋の蓋が大抵26cmだから、家にある蓋を流用できる場合が多いと思います。
22cm・・・少し小さめ。朝食でちょっと使いたい時とか。オムレツも可能。

■厚み
・薄い(1〜2mm)・・・これぐらいなら26cmのサイズでも1kg前後なので、女性でもフライパンを振ることができると思います。
薄い分、蓄熱性は低くなり、例えば、冷たい卵液でオムレツを作るとフライパンの熱を奪ってしまいくっつく場合があります。
・厚い(3mm超)・・・重みがあり、振らずに調理するステーキ等に適しています。蓄熱性が高まるので、均一に熱を伝えやすく、餃子などを並べて焼いても均一な焼き加減になると思います。

■深さ
・ソテーなどする場合はフライパン返しが入れやすいように浅めが良いと思います。後で紹介する魔法のフライパンは浅めの作りになっています。
・野菜炒めなどかさばるものを作るのであれば、深め。もしくは中華鍋が一つあると重宝すると思います。
・とりあえず最初のフライパンを買うなら、ホームセンターで売っているような普通の深さ!?を購入して、後から中華鍋を買い足すなどすれば良いと思います。

■製造方法
プレス・・・鉄板を型抜きして成形する。薄いフライパン向き。量産しやすく比較的安価。
・ホームセンター系 ¥2,000前後
柄の部分が木製なので、何年も使ううちに取れてしまう可能性はありますが、鉄のフライパンであることに変わりはなく、十分使える品です。


・リバーライト 極(きわめ) ¥5,000前後
プレス行程:http://www.kodawariyasan.com/river/profile/river_profile.htm
錆びにくい窒化鉄が特徴とのことです。


・de buyer(デバイヤー) ¥5,000前後
フランスの老舗メーカー。
2.5mmなど比較的厚めの作りで、シルバーが美しい。
シーズニングの方法や黒く育つ経緯をサイト上の動画で紹介しているなど、こだわりが感じられる。
プレス工程:http://www.debuyer.com/video.php?id=121&background=bleu1&start=8



打ち出し系・・・鉄板をたたいて打ち出していく。薄いフライパン向き。
プレス同様、薄いフライパンを製造できるが、数千回たたかれた鉄板のためか、使い込んでいくとプレスとは違う漆黒の風合いになります。

・山田工業所 ¥2,500前後
空焼き(空焚き)を済ませて納品してくれるサービスがあります。
公式HP:http://www.yamadanabe.com
購入先➡http://shop.prokitchen.co.jp/item_detail.command?item_cd=YAFP16-26-IH&category_cd=K_C_Y_FRYPAN_IH


・あじねフライパン ¥15,000円前後

公式HP&購入先➡http://www.ajinefrypan.com/index.htm

鍛造・・・鉄のブロックを真っ赤に焼いては叩いて成形していく製法。薄いのも厚いのも製造できる。打ち出しよりもさらに量産しにくく比較的高価。



・turk ¥20,000前後
参考HP:http://www.free-park.jp/?pid=19710713



・鋳造・・・溶かした鉄を型に流し込んで作る。厚いフライパン向き。量産しやすく比較的安価なものが多いが、ダグタイル鋳鉄など高価な物もある。

・イシガキ 鉄鋳物フライパン ¥1,500前後


・LODGE スキレット ¥3,000前後
公式HP:http://www.lodge-cooking.com/product/logic/index.html


・南部鉄器 ¥10,000前後
カシューナッツ塗装のフライパンと、無塗装の上等フライパンがある。
公式HP&購入先➡http://oigen.jp/product/all_items/JTO-1-004/

・魔法のフライパン ¥10,000前後

公式HP&購入先➡http://www.nisikimi.co.jp
厚い鋳物をあえて薄く、軽くして大ヒット中のフライパン。
メーカーによると、炭素を混ぜることで遠赤外線効果を加えているとのことだが、そもそも鋼(こう)から炭素含有量を増やした物を鋳鉄と呼ぶので、特別、魔法のフライパンだから遠赤外線効果があるというわけではないと思われる。
ダグタイル鋳鉄製なので鋳物の弱点、ひび割れに強いと思われる。

・川口鋳物 ¥10,000前後
http://www.ferramica.com/shop/hotpan26fr.html
魔法のフライパンと同じくダグタイル鋳鉄製。
取っ手のデザインが魔法のフライパンに似ている。
厚みは魔法のフライパンが1.5mm、こちらは2mm。

私感・・・
私自身は、ホームセンター、山田工業所製、魔法のフライパンの3種類しか使ったことが無いのですが、その中でいうと、おすすめは山田工業所製のフライパンでしょうか。
サイズ26cm、厚み1.6mmをチョイスしておけば、オールマイティに使えると思います。

鋳造は鉄板が厚いので振れない。どっしり火において焼くステーキなど用途に向きます。ただし、魔法のフライパンや川口鋳物のフライパンは軽くて普段使い可能ですが、値段が高いです。

ホームセンターのものは、打ち出しの山田工業所製やダグタイル鋳鉄の魔法のフライパンと比べて、鉄の質が違うのか?酸化皮膜が弱くなかなか黒いパンに育たない気がします。
(気のせいだけかもしれません)

他にも見つけたら順次追記していこうと思います。


2013/4/14追記:Googleトレンドでいくつかのフライパンを比較してみました。
リバーライトは注目度が高いですね。(魔法のフライパンは人気がありすぎて他のグラフがつぶれてしまうので比較対象から除いています)


2013/01/13

なぜ熱した後に油を入れるのか?

なぜした後にを入れるのか?

【フライパンをする理由】

吸着水を揮発させ、油が染み込む隙間を作るため

陶芸の素焼きなんかでも取り除いたりする「吸着水」。
くっつきの原因になる物質です。

吸着水とは何か?は以下が参考になります。
フライパンに材料がくっつくのは吸着水が原因
http://ameblo.jp/loglow/entry-10799319097.html

吸着水を揮発させるために、フライパンを熱する。
フライパンを熱したときに出る白い煙がそれです。
しっかり揮発させることで、くっつきにくい状態を作り出します。
また、熱する事で酸化皮膜(※1)に隙間が開いてきて、その中に油が染み込みやすくなる効果もあるそうです。
酸化皮膜に油が染み込むことで、食材がパン肌に直接触れる事がなくなって、くっつきにくい状態を作り出します。

※1)サンドペーパー等で磨いた銀色の地金状態のフライパンを空焼きすることで出来る錆。青くて奇麗な玉虫色が、何度も油を馴染ませていくことで徐々に黒く変色していきます。
青い玉虫色の酸化皮膜

っした後に油を入れる理由】

パン肌の温度を下げるため。

吸着水を揮発させる温度は250度前後。
その温度のままでは高温すぎて、食材を入れたときにタンパク質の多い卵などはくっついてしまいます。

ここでおたまいっぱいぐらいのたっぷりの油を注ぐ事で、パン肌の温度を調理に適切な180度付近まで下げることができます。

ホットケーキなど100度付近まで温度を下げる必要がある場合は、濡れ布巾の上にパンを置けばOKです。

フライパンに油をなじませると同時にパン肌を適温まで下げる。
じつに理にかなった作業です。

これを油返しといいます。
そして使った油はオイルポットに戻してパン肌に残った油はキッチンペーパー等できれいに拭き取りましょう。

その後、調理に必要な油(オリーブ油やサラダ油、ごま油等)を入れて調理開始。
あくまで調理に必要な油であって、くっつき防止の油ではありません。
油返しをした段階でくっつかないフライパンになっているので、油無しの料理が可能です。

テフロン塗装などに代表されるノンスティック加工の施されたフライパンは塗装を高温から守る為に、調理に要不要かかわらず、かならず少量の油を入れることを推奨されています。取扱説明書にたいてい記載があると思います。
鉄のフライパンであれば、塗装を守る必要がないため、油無しの調理が可能です。

おまけ:
オムレツを作る場合、冷蔵庫から取り出したばかりの冷たい卵だと、フライパンの温度が一気に下がりすぎて、くっつきやすくなります。
そういう場合は、卵を常温に戻すとくっつかなくなります。

それでも、油返しを繰り返すうちに、鉄のフライパンが育ってきて、冷たいままの卵でもいつの間にかくっつかずにオムレツができるようになります。

参考になれば幸いです。

2013/01/05

魔法のフライパンを手入れする

2012年12月時点で納期7ヶ月待ちの人気フライパン、「魔法のフライパン」。

スキレットが100円均一で売られていたり結構安価な製品が多い鋳物製。
しかし、「魔法のフライパン」は26cmサイズで10,500円とかなりの高価格。
そして「魔法」というネーミング。

魔法のように「錆びない、くっつかない、料理が上手に出来る」フライパンで、だから高価なのも納得!と思い込んでしまいがちですが、いくら「魔法のフライパン」でも鉄のフライパンであることには変わりなく、それなりの手入れが必要なんですよね。

今回、1年ほど使用した「魔法のフライパン」を手入れする機会がありましたので、レポートします。

1年ほど使用した「魔法のフライパン」
良く使い込まれた黒色にみえますが、これは最初から施されている塗装です。

腐食したパン肌
パン肌をよく見ると、「黒い塗装」の下にボコボコと穴が開いているのがわかります。錆や焦げ付きなどでこうなっていると思われます。
せっかくのダグタイル鋳鉄もこれでは台無し。
卵なんかのタンパク質系の料理ではくっつきやすく、肉などをソテーしてもうまく焦げ目をつけられないと思われます。

同じように、魔法のフライパンを1年程使われた方が画像をあげています。

IHと「魔法のフライパン」の1年後
http://plaza.rakuten.co.jp/wakacorosoucoro/diary/201102210000/

上記ブログでは、「しっくりなじみ」と書かれていますが、画像を見る限りでは、パン肌がかなり荒れており、相当くっつくフライパンになっていると思われます。

こうなると、クレンザーや金たわし程度では落とせませんので、サンドペーパーで磨きます。

ここで一つ気になるのは、
「魔法のフライパン」に施されている黒い塗装。(※1)
サンドペーパーで磨くということは、この塗装も剥がすことになってしまいます。
剥がしてしまってもよいのか?


※1:魔法のフライパンと同じ鋳物かつダグタイル鋳鉄で色味もそっくり、値段も同じ川口鋳物のフライパンを見ると、シリコン系耐熱塗料を使っているので、おそらく同じ塗料と思われます。しかし、公式にはされていません。(2013/4/6 錦見鋳造に問い合わせたところ、黒色の食品用塗装(シリコン系)とのことでした。)

参考)“熱対策を塗料で実現する設計者のための技術サイト|熱対策塗料.com”
 http://bit.ly/V91yc7

メーカーの錦見鋳造のFAQを見てみます。
http://www.nisikimi.co.jp/faq/

塗装されているワケはこんな感じで書かれています。
↑塗装されているワケ

➡錆びやすい、焼き入れが必要、という鉄のフライパンの欠点を「塗装」することで解消しているとのことです。
そして黒皮鉄やブラックポットなんかに似た漆黒色で印象を良くする効果も狙っているのかな?と、あくまで個人的な想像ですが・・・

とにかく「魔法のフライパン」には「塗装」がされています。

しかし塗装は塗装。いずれ剥がれるもの。
どういう仕組みで焼き入れ不要にしているのか、わかりませんが、基本的には焼き入れしていない鉄は酸化皮膜(いわゆる黒錆、青錆)が形成されていないため赤錆が発生しやすく、油なじみもしません。(油なじみとは、酸化皮膜という「錆」の中に油が入り込むことです)

そして焦げ付いた場合のFAQは、こんな感じで書かれています。

↑サンドペーパーを使用してよいか?

➡「焦げ付いた場合は紙やすりで削り取っていただく方法がある。」と微妙な表現。
「塗装を剥がしてください」とは書かれていませんが、「紙やすりで削り取る」ということはメーカーが施した塗装を剥がしてしまうことになるため、このような消極的な表現なのでしょうか。

ということで、最初の1年ぐらいは錆にくく焼き入れ不要な「簡単フライパン」を演出できる塗装。
しかし、塗装がはがれてきたり、塗装の下が錆びてきたりと、いずれはくっつきやすいフライパンになってしまうと思われます。(今回メンテナンスしたフライパンは、この状態でした)
これではノンスティック加工がだんだん剥がれて使い物にならなくなるテフロンやティファールのフライパンとなんだか同じで悲しいです。

魔法のフライパンを永く使うのであれば、やはり塗装は剥がしておくべきでしょう。
というのが私の結論です。
※あくまで個人的な意見なので、塗装を剥がす際は自己責任でお願いします^^;

メンテナンスの様子と卵のくっつき具合を動画にしましたので、ご覧ください。


くっつかない仕組みさえわかってしまえば、テフロンなどの塗装に頼らない、くっつかないフライパンを手に入れる事が可能です。

道具の特性をしっかり理解して使えば、愛着がわいて楽しく料理できると思います。

参考になれば幸いです!