2012/03/17

ヒッグス粒子とはなにか? 慣性質量を与える粒子


名古屋の電気文化会館で開催された「ヒッグス粒子を探せ〜質量の起源にせまる〜」に参加してきました。いろいろ自分なりに納得いった感があったので、私的なまとめをエントリーしておきます。

【質量には2つの概念がある】
1.重力質量
→重力の強さを決めるもの。重力質量が元になって、地球で60㎏が月で10㎏等、引きあう力が決まる。
2.慣性質量
→物の動かしにくさ。重いものは動かしにくく、軽いものは動かしやすい。重力の強さは関係しない。

例えば、光はブラックホールなどの重力で光が曲がるなど影響をうけるので重力質量がある。
しかし動かしにくさがゼロなので止まらず、高速で飛び続ける。よって慣性質量はゼロと言う。

もしも人間に慣性質量がなかったら、その瞬間から光速で走りだし、止まることがなくなる。
でも重力質量はあるので、ブラックホールには吸い込まれる。

ヒッグス粒子は、質量の起源と言われるが、重力質量は与えない。
ヒッグス粒子が与えるのは、慣性質量。

【物の最小単位は素粒子】
原子の中には陽子や中性子があり、陽子や中性子の中には、素粒子がある。とされている。
「ある」といっても、それ以上分解できないものなので、大きさはゼロ。
大きさがゼロってなんなの?っていうのを質問するのはナンセンスらしい。
とにかく、大きさがゼロってことにすると、物理学が上手くいくから、そう「考えた」ということ。
今の物理学は、この、上手くいくという前提を「標準模型」と呼ぶ。
では、大きさゼロの質量はどうなのか?

1.重力質量はグルーオンという未知の素粒子が与えると「考えられている」
→光だろうがなんだろうが、全ての素粒子はグルーオンという、これまた素粒子によって重力質量が与えられると「考えられている」
というか、重力質量が与えられる仕組みが何もわかっていないので、わかっていないから素粒子ということにして、グルーオンが何か作用すれば、それが重力質量だ!ということにしよう。そう考えよう。ということらしい。
「標準模型」にはあんまり影響しないので、とりあえず、見つからなくても困らない。
理論的に全くわかっていない分野らしい。

2.慣性質量はヒッグス粒子という未知の素粒子が与えていないと「困る」
→「標準模型」では全ての素粒子の慣性質量はゼロということになっている。
しかし、実験したら何故か様々な素粒子に、様々な慣性質量(動かしにくさ)があることがわかった。
そこで、「標準模型」が成り立つ前提で、本当は慣性質量がゼロなんだけど、今の宇宙が特殊で、動かしにくくするような外的要因として「ヒッグス粒子」が予想された。
これは、「宇宙がヒッグス粒子のプールになっており、たとえば標準模型では100mを9秒で走れるはずの人間なのに、なぜか宇宙では15秒かかってしまう。それは、ヒッグス粒子のプールの中で邪魔されながら走っているからだ。」
という理屈らしい。

【ヒッグス粒子はミーハー】
実験の結果、素粒子によって慣性質量が小さかったり、大きかったりした。
これは大問題。素粒子は大きさゼロだから、どんな素粒子でもヒッグス粒子のプールのなかでは同じ慣性質量を持たないといけない。
一番軽い慣性質量を持つ素粒子をハエとすると、一番重い慣性質量を持つ素粒子は象。
それぐらい違うらしい。
これを説明するために、次のように考えた。
「ヒッグス粒子は、通常の水泳プールとは違って、人気のある素粒子にはヒッグス粒子がまとわりつき、不人気なヒッグス粒子にはあまりまとわりつかない。」
水泳プールなら、人間がうける水の抵抗は誰でも同じだ。
とにかく、ヒッグス粒子が、大きさゼロの素粒子をなんらかの方法で見分けて、慣性質量の大小を与えているだろう。ということにした。
この点については、まったくわかっていないらしい。

【ヒッグス粒子を発見したい】
とにかく「標準模型」を成り立たせるためには、「標準模型」と「実際」の矛盾(光子以外の素粒子が動かしにくい)を解消しなければならない。
ヒッグス粒子が発見されれば、矛盾が解決することになる。
よって、みんながヒッグス粒子を探すことになった。

【どうやって発見するか】
高いエネルギー(エネルギーとは、物を動かす力)を与えた陽子同士をぶつけると、「いろんな」素粒子に崩壊するらしい。
ボール同士を斜めにぶつけると、同じ角度、同じスピード等条件が同じなら同じ反発の仕方をするが、小さな物の世界では、なぜか毎回違うらしい。(理由はわからないらしい)
でも、陽子同士を衝突させ、その衝撃から生まれた破片がヒッグス粒子になる「確立」だけは理論的にわかっているらしい。
そして、ヒッグス粒子が生まれた直後(おそろしく短い時間)にこれまた別の素粒子に崩壊するということも、理論的にわかっているらしい。
よって、必要な高いエネルギーを与えられる加速器で陽子同士を何度もぶつけていって、ヒッグス粒子かも?という事象が予想どおりの確立で検出できれば、「発見した」ということになるとのことでした。
今はサイコロ数回振って、ゾロ目が出た!ぐらいの確度しかないので、「発見」とはいえないけれど、兆候はでているので、実験の回数をどんどん増やして、99.9999999とか、世界の人が決めた基準を超えたら、「発見した」と宣言してもいいことになっているらしい。

ちなみに、陽子をぶつける実験施設は、陽子が通る水道管みたいなトンネルが、名古屋の名城線1周ぐらい(27Km)の大きさで地下100mに建設されていて、その中に、列車で言うと1両あたり1000億個の陽子を詰め込んで、それを1380両連結させたものを、ほぼ高速まで加速して、衝突寸前で髪の毛の1/4まで細いトンネルに絞ってぶつけるらしいです。

通常の陽子1個がほっぺたにぶつかったときの衝撃をハエがぶつかったときの衝撃とすると、加速器内で衝突させた場合は、ジャンボジェット機が時速1000kmでほっぺたにぶつかるぐらいの衝撃になっているらしいです。

【その他1】
こういった根源的な研究につきものだと思うのですが、偉い先生が講演した後の質問コーナーで、素人が「そもそも力って何?」みたいな質問をしたときの、ほとんどの場合「答えられない」っていう感じが、偉い先生でも意外と根っこの部分は押さえられていないんだな。と、いつも思ったりする。
今回は、「素粒子が崩壊して別の素粒子になるというけど、これ以上分けられない素粒子、大きさの無い素粒子が崩壊ってどういうこと?」という高校生の鋭い質問に「それはわかっていない。そういうことになっている。エネルギーは与えている。」と、ちょっと歯切れの悪い回答があった。

【その他2】
前回行った、スパコンの「京」も、そうだったけど参加する前は、「ネットで調べれば大抵のことわかるから行くの辞めようかな・・・」と毎回サボりたい病気が出る。でも、参加した後は、かならず行ってよかったと思う。
で、次のイベントは、また面倒くさいと思う。きっと。
それでもやっぱり得るものはあるので、やっぱりいろんな催しに足を運びたいと思います。

モンガー!
















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